相続によって建物や土地を取得することがあります。このとき名義変更のために登記を行わないといけませんが、手続については司法書士に依頼するのが一般的です。ご自身で申請をすることも可能ですが、資料集めにかかる手間が大きく、またミスがあったときのリスクも大きいという問題があるためです。
当記事では登記のプロに代行してもらうことのメリットを紹介しますので、相続登記への対応にあたり参考にしていただければと思います。
不動産を相続したときは登記が必須に!
そもそも「相続登記」とは相続に伴う不動産の登記のことです。登記をしなくても相続により土地や建物を取得することはできるのですが、権利関係を第三者に主張するときは登記情報が重要になってきますし、法改正により2024年4月1日からは相続登記が相続人の義務となっています。
それ以前は相続登記が義務ではなく、登記申請をするかどうかは相続人の任意とされていました。しかしながら所有者不明の土地が増えてしまい種々の問題を引き起こしていることから「相続登記はしないといけないもの」へと変わったのです。
不動産相続について知ったときから3年以内に登記申請をしないとペナルティを課されることがありますので注意が必要です。
司法書士に相続登記を任せるメリット
登記申請の代行、登記に関わる相談ができる専門家は限られています。これは手続の専門性が高いという理由だけでなく、法律上その権限が限定されていることに由来します。そして権限を持つ専門家として弁護士や司法書士が挙げられるのですが、登記に関しては司法書士が特化して対応していることから司法書士に依頼するのが一般的です。
プロへ依頼するには費用もかかってきますが、それ以上に得られるメリットも大きいです。以下ではそのメリットについて解説していきます。
登記のやり方や資料集めで悩む必要がない
もし登記に関わるすべての手続をご自身で対応するとなれば、相続手続のことや登記手続のこと、不動産に関することまで、ご自身で調べる必要があります。手続に手間がかかることはもちろんですが、動き始めるにはまず「何をしないといけないのか」がわかっていないといけません。
そこで書籍で相続のことについて調べたり、インターネットで登記手続について調べたり、頭を悩ませることにもたくさん直面するでしょう。必要な手続について把握できたとしても、次に必要書類の判別やその集め方についても一つひとつ調べていかないといけません。
これに対し、初めから司法書士に相談しておけばご自身でわざわざ専門的な知識を入れる必要はなくなります。手続の概要やポイントなどは司法書士がすぐに教えることができますし、依頼主自身が悩まなくてもいいのです。
相続人や物件情報の把握ができる
必要な手続内容の把握、必要な資料の収集だけがやらないといけない作業ではありません。例えば、集めた資料を基に「相続人の調査」や「不動産の調査」も進めないといけません。
相続人の調査には亡くなった方の一生分の戸籍謄本や除籍謄本などを集めていく必要があり、そのうえで戸籍情報を読み取り法定相続人の判定をしないといけません。そしてそのためには民法に規定されているルールも知っておかないといけません。
また、登記対象の物件について正確に把握しておくことも非常に大事なことです。認識できていなかった物件の存在、共有部分が見つかることもありますし、権利関係が複雑化しているケースもあります。
司法書士がついていれば登記の申請書作成やその提出を代わりにしてもらえるだけでなく、その前段階に行うこうした調査についてもフォローしてもらえます。登記ができていなかった土地や家屋への対応方法など、イレギュラーな問題にも対処可能です。
忙しくても適切に義務を果たせる
相続開始後にしないといけない作業は相続登記以外にもたくさんあります。葬儀対応、各種契約関係の清算、遺産分割協議、準確定申告や相続税の申告など、慌ただしくなることでしょう。
そんな中、各手続の期限に留意しつつ相続登記にも対応していかないといけません。仮に相続や登記に関する知識を持っていたとしても、時間の確保が難しいと相続登記の義務を果たすまでに長い期間を要してしまいます。時間に追われながら対応していくことにストレスを感じることもあるでしょう。
司法書士なら代理で作業にあたる法律上の権限を持っていますので、相続人の方自身の時間を節約しつつ必要な手続をこなしていくことが可能です。
法務局に通う手間が省ける
ご自身で対応する場合、手続が煩雑であるうえに、訂正のために何回も法務局に通うこととなるケースもあります。
相続登記の手続の確認をしたり、申請書の作成や申請をしたり、またその内容に不備があったときの訂正に対応したり、法務局に通うのが手間だと感じることも少なくありません。
しかし司法書士に登記手続の依頼をしておけば、相談から手続完了まですべて代行してもらうことができ、法務局に直接出向くといった負担も発生しません。
司法書士の活用がおすすめなケース
以上のメリットが特に活かされるのは次のようなケースです。
- 共同相続人の数が多い
- 戸籍謄本等を集める作業負担が重くなり、遺産分割協議をまとめるのも難しくなるため。
- 登記が放置された土地がある
- 長年登記されていない土地は過去の相続を遡って調査を行う必要があり、手続の手間も大きくなるため。
- 遠方に不動産がある
- 不動産の状況を調べたりするのにかかる手間が大きくなるため。
- 相続関係が複雑になっている
- 相続人の中に未成年者がいる(特別代理人の選任が必要)
- 相続人に行方不明者がいる(不在者財産管理人の選任が必要)
- 相続人に認知症の方がいる(後見人の選任が必要)
これらのケースにおいては登記やその前段階でしないといけないことにかかる負担が大きいため、特に司法書士への相談・依頼がおすすめです。このような状況にない場合であっても、ここで紹介したようにさまざまなメリットが得られますので、相続が始まったときは司法書士を探し始めると良いです。
湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)|司法書士の活用で相続登記の義務化にも対応! 依頼することのメリットとは